ぱわぷろ活動日誌

ゆったりまったり技術を学んでいます。備忘録代わりのブログです。書いてあることは私見が多いので参考程度にしてください。

クラシックマウスを作ろう!(3) ~ホイールとギア比の決定~

初めましての方は初めまして

そうでない方はお疲れ様です.

前回は足回りについて少し思考しました. 

今回は具体的な設計の話として、ギア比とホイールの設計の話を進めていきたいと思います.

目次は次の通り.

JISに喧嘩を売っているわけではなく、「ギヤ」よりも「ギア」の方が一般的なので本ブログでは「ギア」と呼称します。

 

 

ギアの基礎知識

ギアの基礎知識については過去の自分に甘えて横着します.

えい!

 

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ギアの基礎知識

URLが有効か確認しました.(2020.3.24.22:09)

https://www.nmri.go.jp/oldpages/eng/khirata/design/ch06/ch06_02.html

ギアを自作するとなると圧力角などの細かいパラメータがたくさん存在しますが、既製品のギアを組み合わせて動かすなら必要なのはこれくらいです.

原則

「同じモジュール同士の歯車を使う」

「配置の条件はピッチ円が接する」

「ギア比(減速比)は歯数の比である」

 

また

「減速比が大きいと、回転数が下がり、トルクが大きくなる」

「ギアの個数が増えるだけ、損失が大きくなる」

事も有名.

 

複雑な傘歯車やラックギア等でも基礎はこれぐらいです.

マイクロマウスではシンプルな平歯車1段のみの組合せなので

使うのはモータ軸に挿すピニオンギア,

ホイールに用いるスパーギアの2つを使います.

 

ギア比の計算

具体的なギア比は本来,ロボットやシステムのモデルを基に物理計算して決めます.

機体のスペックは設計で決まります.

スペックをどこまで引き出せるかはシステムとソフトで決まります.

(多くの場合はスペックを引き出せませんが…)

設計時点で決めたことはその機体の最大値を決めてしまうので本来は入念に計算,仮定をして決めるものです.

 

しかし,本シリーズでは「先人に甘えます」.

実はマウスの諸々は既に多くの方々が計算しているため,DCクラシックマウスのギア比は4~3が良いと経験的に知られています.また材料の損耗を考慮すれば、歯数は互いに素な数であることが良いとされます。(後述)

 

なぜそのような値になるか,確認するための式についてはモデリングの回とかでやろうと思います.

本来はモータ選定で必要な計算なので,ロボット製作では避けられない道でありますが1717を使うと決めているので,あまりちゃんと考えなくてもよいってメリット?に甘えましょう.

 

ギアの選定

「ギアは既製品に限る」の信念に則り既製品に頼ります.

ぶっちゃければギアのモジュールさえあっていれば噛み合います.

 

ギアの材料として最初の選択は金属or樹脂だと思います.金属では真鍮やS45C(鉄)がよく用いられています(要出典).樹脂では加工の容易さや射出成型の既製品からPOMが多い印象です(これも要出典).

 

小型金属製ギアの特徴(偏見あり)

・入手性に難

・重いため、速度が安定しやすい

・強度が高い

小型樹脂製ギアの特徴(偏見あり)

・入手性が高い

・軽いため、加速しやすい

・脆い

 

マウスの出力だと既製品POMギアであればそうそう割れることは無いそうです。

今回はピニオンギアとスパーギアを用いますが

私は

ピニオンギア →   真鍮製m0.5(kkpmo)

kkpmo - KK Produktcja Mikroantriebe Zahnrad, Schnecken, Mikro Getriebe und Car System Hersteller

スパーギア  →   POM製m0.5(レインボープロダクツ)

平ギヤ(モジュール0.5) レインボープロダクツ 平歯車 【通販モノタロウ】 91606〜

を用いています。

人によってはm0.3を用いていますが、最初は計算が楽なm0.5をオススメします。

性能を考えるとm0.3の方がマウスに適している気もしますが…. 

 

材料を別々にしている理由は摩擦による損耗を平滑化するためです。

小さい方のギアは大きい方に比べて回転回数が多いです。その分、摩耗が速い。

材料の特性上、金属と樹脂では樹脂が削れるので、回転回数の多いピニオンギアの摩耗を少しでも減らさることが目的です。

 

正直、どこまで効果があるかは分かりませんが…。

 

ホイールの内部構造

この辺りは先人のブログと過去の自分に甘えます。

 先人

beshiya.hatenablog.com

過去の自分

 

ss-sholaw-wmmc.hatenablog.com

 

M2のネジをシャフト代わりにベアリングに通しています.

ベアリングはこの辺だったはず.フランジが付いてれば何とかなるのでは…?

DDLF-ZZ Series 薄型フランジ付両シールドラジアル玉軸受 NMB(ミネベア) ボールベアリング(深溝玉軸受) 【通販モノタロウ】 DDLF-520ZZ〜

ここで大事なのはネジで締めながら、ベアリングの機能を邪魔しない様にベアリング間をスペーサーで突っ張り支えることです。

(日本語にするとアホみたいだな…)

このためにベアリングスペーサーを用いています。

URL:

https://www.yodobashi.com/community/product/100000001001656151/review.html

 

主なベアリングの構造としては外円と内円の間に小さな球体があり、これが転がることで外と内で別々の回転を実現しています。

この球体が外に出ないように軸方向に壁を設けていますが、球を壁へ押し付けるような荷重をかけると摩擦が増加し、ベアリングの回転を阻害するようになります。

これを回避するために「ベアリングの内円だけを押す」構造を作る事が重要です。

私はベアリングスペーサーを利用していますが、シムリングでやっている方も多いです。

 

タイヤの選定

タイヤはホイールの周りについているゴムの部分ですね。

これもミニ四駆用の既製品がありますので、それを用いる事が多いです。

私は京商ミニッツのタイヤを使っています。

URL: 

京商 MZW2-30 ハイグリップタイヤ (ソフト30゜) | | 4955439732540 | ラジコン専門店 フタバ産業オンラインショップ

 

タイヤには硬度と呼ばれるゴムの硬さの基準があります。ここについての検討事項を以下にあげます。

・硬い → タイヤの摩耗が一定、滑りやすい

・柔らかい → グリップが良い、偏摩耗がある

パッと思いつくのはこの辺りです。

柔らかいと自己位置推定で誤差を含みやすくなったり、コーナーリングにおけるスリップ角への影響度など、他にも検討事項は沢山あるはずですが正解は無いので是非、考えてほしいなと思ったり。(投げやり)

 

ホイールの設計

ここまでで既製品で用いるスパーギア、ピニオンギア、タイヤの選定が終わりました。

これらを自作する事もありますが、中々難度が高いです。また、前述のホイールの内部構造(それに値する他の構造)を実現するために私はホイール部分を自作することにしました。

 

自作といっても、設計だけした後は外注の3Dプリンタサービスにお願いするだけなので楽です。

外注先は主にこちらを利用しています.

材料はナイロン系,PA12とか使ってたかな…(うろ覚え)

make.dmm.com

モータマウント等はほぼほぼ自作するのでそのついでにホイールも!!って感じです。

 

ではCADでやることざっくりリスト化します。

1.既製品タイヤが入るような円柱を作る

2.円の真ん中にM2のねじが入る軸を開ける

3.片方のねじが入るところにベアリングが入るようにざぐる.(凹ませる)

4.逆側にタイヤ部分が入り込まないように外形を少し大きくした緩衝防止円柱を1mm作る.

5.スパーギアを固定する仕組みを作る.

スパーギアにボス(円柱の出っ張り)があるー>ボスがはまる穴を干渉防止側にざぐる.

スパーギアに大きめの穴が開いているー>ベアリングとギアがハマる円柱突起を作る

6.ギアが無い方をいい感じにデザインする(長さとかも含めて)

 

注意点は以下の通り。

・外径について、ホイール+タイヤ > スパーギア(歯先円)となる

・既製品タイヤの内円よりホイール外径を大きくする

・スパーギアとホイールが同心円となるような位置決め方法(はめあい等)がある

・モータ軸がタイヤと干渉しない(ピニオンギアが小さいとやりがち)

 

自分のホイールはこんな感じの構成になっています.

左からナイロンナット,モータマウント,ベアリングスペーサー,ホイール(&ベアリング),スペーサー×2,ベアリング,ねじ. 

 

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具体的な設計は個人の考えが反映されて別々のものになります.

ここまで書いても個人ごとに少しずつ異なるのがマウスの面白い所ですね.

今回と次回で足回りCADの話は終わり(にしたい)です

次回は「モータマウントとフレーム設計」です.

それではまた.